水虫のはなし
こんにちは、皮膚科担当田中です。
少し動くと、汗ばむような気候となってまいりました。水虫だと思うのですが…と受診されるかたが増えてきました 😀
俗にいう水虫とは「足白癬」と言われるもので、人口に対する有病率はおおよそ20-25%ととてもポピュラーな病気で、高齢者にはかなりの割合で見受けられます。
皮膚の皮が軽く剥けるだけの人、乾いた水疱のようなものが点在しているもの、趾間が高度に湿潤(ふやけている)しているもの、さらに炎症を起こして赤くただれたようになっているもの、かかとなどが異様に厚くなっているものなど様々な様子を示します。
また足白癬の約半数の方には爪白癬も合併しています。
爪に感染を起こすとなかなか自然には治りません。白癬菌により混濁して脆い爪は変形しやすく、巻き爪の原因になったり盛り上がった爪のために靴が当たって痛いこともあり、何しろ爪に白癬菌の巣があれば皮膚へ常に菌がばら撒かれる状態ですから、皮膚の白癬の治療も同時に行う必要があります。
足白癬の治療薬は市販薬で簡単に手に入るものの、例えば強く浸軟(ふやけること)していたり、ただれたような状態で白癬菌の治療薬を使うとかなりの割合でかぶれやすい上に、市販薬は自覚症状を緩和させるために麻酔薬や消毒薬などが入っておりますので、余計にそれらにかぶれ、かなり悪化した状態で受診される方も稀ではありません。
また、ご自身で足水虫だと思って受診される方の数割は足白癬以外の病気である場合があります。
今回は詳細を控えますが、市販薬を使った状態で来院されると「薬を使ったために表面から菌が検出されにくい」のか「もともと足白癬ではない(菌はいない)」のか判断できなくなり、いったん市販薬を中止し、炎症止めなどを使いながら再検査を行わなくてはいけないことが少なくありません。
2度手間になってしまう場合もありますので、もしや 😕 …?と思ったら、市販薬を使う前に受診いただけると幸いです。
白癬菌の定着に関しては、理論上は毎日足を洗っていれば感染する率は少ないとされておりますが、一度罹患したことのある方は、感染増殖する条件が整っているのか再発する方がかなり多いです。
また表面上は治ったように見えても、じつは角質の底のほうで菌は残って潜伏状態にあり、しばらく症状が出ないものの、高温多湿など条件がそろうと増殖してくるケース 😥 も多くみられます。
きれいな足を取り戻すと、サンダルや温泉、プールでの露出で恥ずかしい思いをしていた方も晴々 😀 とされます。
爪白癬も少し前までは飲み薬による治療がメインでしたが、爪の表面からの浸透率の高くなった外用剤も発売されておりますので、内服薬に躊躇されていた方の治療の選択肢も増えています。
もしや…と思ったら、是非診察を受けてくださいね。きれいな足で、気持ちの良い夏を迎えましょう♪